殺人鬼との日常《カップ麺》

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 自称殺人鬼の少女アリスがうちにやって来てから、数日が過ぎたある昼下がりのこと。  僕はカップ麺を啜りながら、仕事の書類に目を通していた。 「なあガトー」 「なんだ」 「それ、なに?」  そう言って、アリスは僕が食べているカップ麺を指差す。 「なんだ、カップ麺も知らないのか?」 「カップ麺?」  そう言って、僕の名前について問答した時のように首を傾げる。  それに僕はため息をひとつ。 「お湯を注いで三分でできるお手軽ラーメンだよ」  すると彼女は目を見開いて、 「お湯を注いで三分でできるお手軽ラーメン……!? た、食べたい……」  と、よだれを垂らす。 「あげないけどな」 「けち」 「食べたかったら自分で買ってこい」  僕のその言葉を聞いて、アリスは無言で立ち上がった。  そしてリビングを出ていく。
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