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死の宣告から一週間、俺達家族は、もがくことも、戦うことも出来ず、ただ短く残酷な日々を過ごさざるをえなかった。
眞菜は1日の大半をテレビを観て過ごした。
テレビは無情だ。今年のクリスマスは、雪が降り、ホワイトクリスマスとなる確率が高いでしょう。
そう言うアナウンサーは笑顔だ、でも眞菜や俺にとっては、その言葉がどんなに重たいもので、どんなに許せないことだろう。
たとえば、俺の場合…
「お兄ちゃん、あたし本当に死んじゃうのかな?」
妹にそう聞かれた時、何も答えることが出来ない。
ただ「外に…出るか?」
そう言って、話をずらすことしか、俺には出来ないんだ。
外は寒かった。
秋も終わりに近づき、だんだんと寒さが体を突き刺すようになる頃だろう。
上を見上げれば、雲に隠れた月、所々見え隠れしている星は、輝きを失っているようにも見える。
膝掛けの毛布を忘れた‥俺がそう気づいた時、ちょうどその時、眞菜の頬に一際輝く雫が光った。
眞菜が泣いたのだ。
たとえば、俺の場合…
妹が涙を流し、苦しんでいる時、そっと抱きしめてやる。
俺には、そうするしか眞菜を安心させてやれない。一分一秒無駄に出来ない人生、いや…人生とは自分自身の死の瞬間が分からないからこそ人生と呼べるのだ。
眞菜にしてみたら、一分一秒無駄に出来ない1ヶ月となる。
正確には、2週間か…
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