第10話 諒先輩と千衣子

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  「……わかりました」 観念してそう頷くと、やった♪と嬉しそうに笑ってみせて。 ……つくづく、生徒会の人たちは変わっていると思う。 二人で生徒会室の戸締まり消灯をした後、鍵をかけて校内を出た。 「……冷えますねー」 冷たい風が頬を掠めていって、思わず鼻をすする。 「あっためよーか?」 両手を広げる諒先輩。 「だ、大丈夫ですっ」 「つれないなー、遠慮しないでいいのよ?」 「いえ……っ」 なんでこの人はすぐ、そういう方向へ持っていこうとするのだろうか……っ 一々、心臓がもたない。 「今日は本当にありがとう」 突然そう言って、にっこりと諒先輩が笑った。 「まじ助かったわー。俺ひとりじゃ朝までかかったかも」 「あはは、大げさですよ」 「いやいや、もうほんっと、感謝してるから!……身体で表現したいくらい」 「それはいいです……っ」  
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