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真面目になったと思ったら、すぐにふざけてみせる。
飄々とした態度で、掴んだと思ったらするりとすり抜ける。
……もしかしたら、トマくん以上に掴み辛いかもしれない。
トマくんは、分かりづらいけど微かながら表情の変化がある。
怒ったらちょっとだけ眉間にシワが寄って、嬉しいとちょっとだけ口を緩める。
微かだけど、嬉しい変化。
――けど、諒先輩は。
「ちーこ」
「わっ…」
グイ、と腕を引かれる。
何かと思い諒先輩を見ると、私のさっきまでいたすぐ横を自転車が通りすぎていった。
「ベル鳴ってたよー? 気付かなかった?」
「す、すみません……、考えごとをしてて……」
「なにそれ、アヤシー」
くすくすと笑う。
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