第10話 諒先輩と千衣子

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  ……そうだ、諒先輩はいつだって笑ってるんだ。 だから分からない。 「……諒先輩のこと、考えてました」 そう呟くと、一瞬固まって、目をまん丸にする諒先輩。 だけどすぐに口元を緩めて、いつものように笑った。 「なにそれーっ!もしかしてちーこ、俺に惚れちゃったとか?」 「諒先輩は……いつも、笑ってますね」 「うん?」 「……不安になるくらい」 じっ、と諒先輩の瞳を見つめたら、笑っていた先輩も口を閉ざした。 諒先輩の色素の薄い瞳が、微かに揺れた気がした。 「……不安?」 小さく呟いた先輩は、 いつもの人懐っこい笑顔ではなく 口端だけをつり上げて、 それは冷たい笑みを溢す。  
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