第10話 諒先輩と千衣子

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「……っ」 「……それ、昔似たようなこと言われた事あるよ。 傷つくなぁ」 目を閉じて、ため息をつく。 そして目を開けると、流し見る様に私に視線を向けた。 「…っ……」 捉えられた様に、動けなくなる。 ミヤビ先輩の支配するような瞳とは違う。 冷えた瞳。 「…りょ、先ぱ……」 ――怖い。 いつも明るい諒先輩とのギャップで、それは何倍にも膨らむ。 「……笑ってると不安って言う癖に、笑わなくなったら怯えるんだ?」 「……っ」 「ふ、涙目」 諒先輩から少しでも逃れたくて後ずさると、背中にトン、とアスファルトの壁がぶつかる。 ひんやりと寒さが身体に伝う。 挟みこむように、諒先輩は壁に両手をつけた。  
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