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「……っ」
「……それ、昔似たようなこと言われた事あるよ。
傷つくなぁ」
目を閉じて、ため息をつく。
そして目を開けると、流し見る様に私に視線を向けた。
「…っ……」
捉えられた様に、動けなくなる。
ミヤビ先輩の支配するような瞳とは違う。
冷えた瞳。
「…りょ、先ぱ……」
――怖い。
いつも明るい諒先輩とのギャップで、それは何倍にも膨らむ。
「……笑ってると不安って言う癖に、笑わなくなったら怯えるんだ?」
「……っ」
「ふ、涙目」
諒先輩から少しでも逃れたくて後ずさると、背中にトン、とアスファルトの壁がぶつかる。
ひんやりと寒さが身体に伝う。
挟みこむように、諒先輩は壁に両手をつけた。
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