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「……逃げられないね?」
「……っ」
「俺が、怖い?」
覗きこむように、諒先輩が顔を近づける。
ぶん、と首を横に振る。
本当は怖い。怖いけど――
それを言ったら、諒先輩が傷ついてしまう気がした。
「……強がり」
「……っ」
耳許で囁かれて、びくりと身体が跳ねた。
その反応を楽しむかの様に、クスクスと笑う。
「あーあ。雅のお気に入りじゃなかったら今すぐ襲いたいな」
「な……っ」
「ちーこのその、涙堪えてる姿……たまんない。加虐欲にかられるんだよねー…」
くすりと笑って、舌を出す諒先輩に、確信する。
この人、ドSだ。
隠れサディストだ。
"外"に見せないだけで、本当はミヤビ先輩に負けじ劣らずに違いない。
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