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「ちーこ」
「……っ」
甘い響きで、誘うかのように囁いて、先輩は妖しく笑う。
動けない私の頬を掴み、
「――ミヤビには内緒だよ?」
「……っ!?」
れろり、と生暖かい感触。
は、はっ……
鼻の上、舐めた……!
「ここなら雅にも触れられてないっしょ?」
ニッコリと無邪気に笑う。
いやいや、
そんな問題じゃない……っ
「……帰ろっか。あんまり遅いとお母さん心配するっしょ」
身体中がカッカと熱くなる私に諒先輩は平然とそう言うと、すたすたと歩き始めた。
やっぱり……分からない。
諒先輩は、掴めないと思った。
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