第10話 諒先輩と千衣子

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「ちーこ」 「……っ」 甘い響きで、誘うかのように囁いて、先輩は妖しく笑う。 動けない私の頬を掴み、 「――ミヤビには内緒だよ?」 「……っ!?」 れろり、と生暖かい感触。 は、はっ…… 鼻の上、舐めた……! 「ここなら雅にも触れられてないっしょ?」 ニッコリと無邪気に笑う。 いやいや、 そんな問題じゃない……っ 「……帰ろっか。あんまり遅いとお母さん心配するっしょ」 身体中がカッカと熱くなる私に諒先輩は平然とそう言うと、すたすたと歩き始めた。 やっぱり……分からない。 諒先輩は、掴めないと思った。  
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