第10話 諒先輩と千衣子

16/17
108人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
それが興味をそそられる。 泣かしてみたい、と思った。 彼女はきっと簡単に涙を流さない。脅しても、怖がって涙目になっても、きっと必死に堪えるのだろう。 たまらないだろうな、それ。 ――そしてたまたま、俺がドジをして一緒になった帰り道。 "先輩はいつも笑ってますね" だ、なんて。 雅以来の言葉。 俺の核心に触れる言葉。 君も、俺の内側に入り込める一人なのか。 あーあ。 雅のお気に入りじゃなかったら。 壊すように、君に触れられたのにな。 ちょーっとだけ、雅を恨む。 ちょっとだけね。 俺は雅も好きだし。 「はーあ……」 "ヒトリジメ"出来ないってのはこんなに辛いもんなのか。  
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!