第1話 園原千衣子の日常

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――ドンッ 衝撃と共に、グラリと身体が前のめりになる。 バランスを崩して、反射的に両手を地面につけると、持っていた教科書がハデな音を立てて落ちていった。 「園原さん、大丈夫ぅ?」 階段の上から、桃川さんの甘い声が響く。 周りの友だちと唇を歪ませて、クスクスと嘲る様に笑った。 「ごめんねー? 園原さんがいるって気付かなくってさぁ~」 「……いえ」 小さく呟いて、散らばった教科書を拾い集める。  
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