No.001

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「俺はそんな世界を見てみたい」 「ジン…」 「こんな何も無い塔の中で、朽ちていきたくねんだ」 「…ったく。そんな世界なら、俺にも見せろよ」 レイの言葉に、俺は目を見開いた。 「お前居なくなると、つまんねえんだよ」 「いやでもお前、んな簡単に…」 「お前と一緒に居ることが俺の最優先」 「なんてな」と言いながら、レイは綺麗に笑った。 レイに対して呆れた。 けれどその反面、喜んでいる自分がいた。 仲間ができたことに。 そしてずっと一緒にいたレイが、一緒に行くと言ってくれた事に。 「で、お前はなんでそんなに外の世界のこと知ってんの」 「なんでって…」 「だってそうだろ。この塔には外に関する資料は一切無い。それに、外に行ったことがあるやつなんて看守位のもんだ」 「それは…」 レイは頭の良い奴だ。 俺なんかより、数段。 眉間にシワを寄せて俺を見るレイから、自然と目を逸らした。 「まあ、色々ツテがあってな」 「ツテ?」 「そこは深く詮索すんな。……いつか、話すから」 「あ…そ」 「悪ぃな」 フッと笑いながら言うと、レイは残っていたお茶を一息に飲み干した。 再び俺達の視線が交わる。 「で?算段はあんの?」 「…んー。今んとこ、方法はねえかな」 「ま、そうだろうな。この塔の警備は世界一って、あいつら看守の口癖だもんな」 「ああ。んでもそれは俺たちの石鹸意識に植え込まれたもんなんじゃねえかと思ってさ、色々調べてみたんだ」 「潜在意識な」 すかさずツッコミを入れるレイに、俺は一瞬言葉を止める。 日本語は難しすぎると思うんだよな…。 全く。 「そんで、行き着いた答えが…脱出不可能っつー答えだった」 「なら、諦めんのか?」 「まさか。どうにかしてみせる」 「どうにかって…」 なんの算段も無い俺に、レイは大きなため息を吐いた。 「とりあえず、今わかってる情報教えろ」 コンコンと爪で机を叩きながら言うレイに、俺は少し驚いてしまう。 こいつは普段おちゃらけてはいるが、頭のキレがいい。 こいつなら、俺に導き出せなかった答えを導き出せるかもしれない。 そう思って、俺は昼間マーリンから聞いたばかりの情報を全てレイに伝えた。
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