No.001

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レイは、そんな俺の言葉を目を伏せながらただ静かに聞いていた。 頭の中にインプットしていくように。 全てを話し終えた時、レイは真剣な趣で目を開いた。 「…随分、用心深いな」 「え?」 「お前は可笑しいと思わなかったのか?」 「何が?」 「例えば、この塔が宙に浮いているのならこんなタグ付ける意味ねえだろ?…外に続く道に電圧張ってんなら尚更だ」 「…確かに」 腕を組んで考え込むレイに、俺は深く頷いた。 レイの言う通りだ。 逃げ出さない為とはいえ、用心深すぎる。 「まあ、そんだけ心配性なんじゃねえの?」 あっけらかんと言えば、レイは大きな溜め息を吐いた。 そんなレイの仕草に俺はきょとんとしてしまう。 「さすがは馬鹿ジン」 「な、なんだよ!」 「だから…。そんだけしないといけないくらいの何かが、俺たちにあるっつー事なんじゃねえのかって事」 「何かって……。っあ!!!」 レイの言葉に、俺は閃を感じた。 昔マーリンから聞いた情報に、それっぽいものがあった。 「なあレイ。この世界には、4つの民族が居るらしい」 「4つの民族?」 「ああ。クー、カーネ、ロノ、カナロア4人の神が居て、その神々を祀っている民族がいるらしんだ」 「クーって…この塔の名前の?」 「そ。クーってのは、戦いの神らしいぜ」 「じゃあ俺らワケア民族は、クーって神を祀ってんのか?」 「いや、それは違う」 腕を組んで背もたれに寄りかかりながら、足を組む。 レイを見やると、俺の方をジッと見つめていた。 「クーを祀ってんのは、この塔の下にある街に住んでる民族だ」
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