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この灰色の繋ぎが、ここの監獄の唯一の服。
部屋から出る時は、必ず、この服で出なければならない。
適当に作られた繋ぎは、それぞれの体に合っていない事も多々ある。
俺は、ズリズリと繋ぎの裾を引きずりながら、再び洗面台へと向かった。
ムカつくほどに、金色に輝く髪を、水で適当に整える。
その時、真っ赤な自分の瞳が見えて、俺は慌てて目を逸らした。
――――あの目が―
―ああ。あれが――――
――――随分と汚いわね―
良く投げかけられる言葉が、俺の頭の中で児玉する。
どうして…
そんなの、俺のせいじゃないのに……
「………そろそろ、行くか」
ボソリと1人で呟き、俺は、部屋のドアノブに手を掛けた。
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