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「私は、崎村君の言う通り、罪悪感に蝕まれて…文ちゃんと誠を重ねて、向き合えなかった。
怖かったんだ…!誠に、お前は皆を幸せにできているのかと、いつも問い質されているようで…!」
義父ともう一度手を握り合い、その手に 力を込める。
「本当に、本当に悪かった。ごめん…ごめんよ、 文ちゃん…!」
「…お義父さん」
その包み込む手に額をつけて、土下座するように、義父は何度も何度も謝った。
私達が手を握り合っていると、か細い声が聞こえてくる。
「本当に……いや、だ……」
「お母さん…?」
母はまた精気のない虚ろな目で私を見ていて…
「あんたは……本当に、誠に似てて…顔も、性格も…何もかも……私に似ている所なんか全然なくて…」
けれど、どんどん瞳が潤み、涙が光りに反射して、瞳がゆらゆらと揺らいで、きらめいている。
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