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「どうして……私は…そんな大事なことを忘れてしまったんだろう!
誠は、唯一、文香を遺してくれたのに…!!」
「ママ…!!」
「ごめんね、文香。本当に…ごめんね。
誠、ごめんなさい!!あなたの大切な文香を傷つけ続けて…!!文香、ごめん。…ごめんなさい……」
母は何度も何度も私に謝り続ける。まるで、あの時のように。
しかし、将さんは母と義父を見つめて、厳しい現実に目を向けさせる。
「…あなた達二人がしてきたことは、何度、文香に謝ろうと、そう簡単には許せるものではありません。
父の死さえよく理解していなかった小さな文香に、あなた達は過去の悔恨をすべて背負わせた。
そのために、どれだけ文香が傷ついて来たのか…」
「将さん…」
母と義父は、将さんの言葉を真摯に受け止めている。二人ともようやく過去と正面から向き合っているのだ。
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