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「俺にとって、そんな文香との出会いは、何よりも尊いものなんです。
だから…今まで、文香とともに生きていてくれて…
そして、文香を産んでくれて…本当にありがとうございました」
「将さ…ん…!」
そう言って、将さんは義父と母に頭を下げた。
これ以上、私の瞳からどれだけの涙が流れ出てゆくのだろう。
でも、この涙は、掛け替えのない人の私への愛の深さを感じる幸せな涙。
私は潤む瞳で将さんを見つめ返すと、将さんは私を傍へ引き寄せた。
「俺は、文香のすべて…もちろん過去の傷も、すべて受け止めていくつもりです。
だから、どうか文香とともに生きることをお許しください」
「許すも何も…私達は、文ちゃんの幸せをこれ以上壊すことなんて出来るはずもないよ。
私達が与えることの出来なかった沢山の幸せを、崎村君が文ちゃんに与えてあげてほしい」
「文香を…文香を、どうぞよろしくお願いします」
「お義父さん…!お母さん…!」
今度は義父と母が、将さんに頭を下げる。
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