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「あずさちゃんって子が貴方の兄弟になるのよ。」
それが初めて聞いた梓の名前だった。笑っていると思った母、今思えば母の目は笑っていなかった。けれど、何処か安堵しているようなそんな顔。
俺はその顔をしてる意味も、兄弟ができるという意味も理解できなかった。
名前を初めて聞いたとき、俺は梓は女だと思った。そして女だと思ったま梓に初めてあったのは小学校の時父親が会わせてくれた時。
「同い年だから、仲良くしなさい。」
そして父は忙しい忙しいと部屋を出ていく。夕方に迎えが来るから2人で遊んでいなさい、と重く閉じられた扉。
「梓、ちゃん?」
「…っ!僕は、女じゃないっ」
それを聞くまで気付かなかった。柔らかそうな髪、ぱっちりとした目、艷めく唇。全てが輝いていて俺は一目惚れだった。
勿論女じゃないと聞いてショックだった。けれど、俺の中で生まれたその気持ちが消えることは無かった。
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