始まり

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床に何がぶつかり割れる音。 その先を見ると高そうな更に色とりどりのクッキー。 そこに立つ母はひどく青ざめてショックを受けているようで。それと同時に怒っていた。 梓は悪いことしたのが見つかったかのように怯えていた。俺は無意識に梓を庇うように立てば母さんを見つめた。 「その子は誰なの」 「俺の友達」 梓の名前を出しちゃいけないと思った。梓だと知ったらなにをされるかわからない。 無意識のうちにそう思ったのだろう。 「その子はあの女の子どもでしょう?汚らわしい!」 梓を見る母さんの目は酷く冷たくて、梓はその目に酷く怯えていて。俺は声を荒らげた。 「汚らわしくなんかない!梓は俺の友達だ!俺の友達を侮辱するのは例え母さんでも許さない!」 「洋太…!?」 「俺は梓は綺麗だって思うから、汚いとか言わないで」 そう母さんに告げれば、開き直ったように母さんは梓を見る。 「汚い子に汚いっていって何が悪いのかしら?私、たまに貴方のことが解らないわ?洋太。」 母さんはそう言うなり部屋を出ていってしまった。子供だから、何を言ってもわからないとでも思ったのか。 ちゃんと、わかるのに。 「洋太、大丈夫だよ、僕が汚いのは自分で解ってるから」 「梓…?」 「僕は、要らない子だから」 悲しげに笑う梓、その手は自分の服をまくっていて、そこに見える無数の痕。梓曰く「お仕置き」なんだと、言う。 「僕の出来が悪いから、母さんは毎日僕を叩くよ、洋太のお母さんも、俺の母さんとおんなじ目だった」 オマエ、イラナイ 「僕は、居ちゃいけないから、洋太にもホントは会っちゃだめなんだ、だから…」 悲しそうに、もう終わりにしなきゃねと言う梓を、俺は気がついたら抱きしめていた。 .
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