24人が本棚に入れています
本棚に追加
床に何がぶつかり割れる音。
その先を見ると高そうな更に色とりどりのクッキー。
そこに立つ母はひどく青ざめてショックを受けているようで。それと同時に怒っていた。
梓は悪いことしたのが見つかったかのように怯えていた。俺は無意識に梓を庇うように立てば母さんを見つめた。
「その子は誰なの」
「俺の友達」
梓の名前を出しちゃいけないと思った。梓だと知ったらなにをされるかわからない。
無意識のうちにそう思ったのだろう。
「その子はあの女の子どもでしょう?汚らわしい!」
梓を見る母さんの目は酷く冷たくて、梓はその目に酷く怯えていて。俺は声を荒らげた。
「汚らわしくなんかない!梓は俺の友達だ!俺の友達を侮辱するのは例え母さんでも許さない!」
「洋太…!?」
「俺は梓は綺麗だって思うから、汚いとか言わないで」
そう母さんに告げれば、開き直ったように母さんは梓を見る。
「汚い子に汚いっていって何が悪いのかしら?私、たまに貴方のことが解らないわ?洋太。」
母さんはそう言うなり部屋を出ていってしまった。子供だから、何を言ってもわからないとでも思ったのか。
ちゃんと、わかるのに。
「洋太、大丈夫だよ、僕が汚いのは自分で解ってるから」
「梓…?」
「僕は、要らない子だから」
悲しげに笑う梓、その手は自分の服をまくっていて、そこに見える無数の痕。梓曰く「お仕置き」なんだと、言う。
「僕の出来が悪いから、母さんは毎日僕を叩くよ、洋太のお母さんも、俺の母さんとおんなじ目だった」
オマエ、イラナイ
「僕は、居ちゃいけないから、洋太にもホントは会っちゃだめなんだ、だから…」
悲しそうに、もう終わりにしなきゃねと言う梓を、俺は気がついたら抱きしめていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!