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一生懸命練習をつんだお陰か中学最後に県大会まで勝ち上がることができた。その旨を手紙で伝えると、梓も勝ち上がったという情報。
大会で梓と会える。
梓に会いたい一心がここまでの実績を残したんだ、とも思う。
梓も同じように考えてくれたらと思って手紙を机にしまった。
大会当日。
正直競技とかどうでもよくて、梓の姿を探した。するとあのタオルと同じ髪が目に入る。チームメイトの制止の声も聞かずに走った。
「梓!」
「洋太!」
まるで長年会っていなかった恋人のように飛び付いてくる梓を安心させるために軽く抱き締めてやる。それだけで梓はひどく嬉しそうな顔をした。
「嬉しそうな顔しちゃって。そんなに俺に会えるの嬉しい?」
「当たり前だろ!洋太は嬉しくないのかよ!」
「ばぁか。嬉しいに決まってるだろ」
それを聞いて嬉しそうにする梓を軽く撫でてから今日親は来てるのか、と耳元で囁くと首を振る梓には一安心。もう一度ぎゅっと抱き締めてから離れた。
「洋太は高跳びだよな?」
「あぁ、梓はハードルだっけ?」
「うんっ!」
お互い頑張ろうな、と軽く髪を撫でる。嬉しそうに笑う梓。本当に癒された。チームメイトで友達の有原(ありはら)にミーティングするらしいと教わり、梓と別れた。
ミーティングが終わった後にトイレに行こうと誘われて向っていたら有原が思い出したように言う。
「さっきの子、可愛い子だな、彼女?」
集合場所に向かう途中、有原にニヤニヤされながら聞かれた。ちげぇよ、と軽く叩いて「幼なじみ」と告げた。
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