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「……えっ……狒々様が!?」
「はい」
「そんな………狒々様…」
狒々様と仲がいいのを知っている鴉が狒々様が殺された事を教えてくれた
狒々様は総会に来る度に頭を撫でながら「何か不安な事は無いか」「人間に虐められてやしないか」と必ず声を掛けてくれる、奴良組の中でも長老格の大妖怪
「……………分かりました。報告ありがとう……」
「はっ」
鴉が退室した後独りになり静かになると急に走馬灯のように今までの狒々様との会話が頭の中を巡り、何か雫が頬を濡らしているのに気付かないフリをして窓の外へと視線を移す
翌朝私はセツと一緒に朝食と弁当を作ると着替える為に自分の部屋に戻り、クローゼットを開けると一度だけ葬儀の為に買った喪服が目に入り少し悩んで制服の上から黒いカーディガンを羽織った
「あれ?リョウ、寒いの?」
「いいえ。寒い訳では無いから」
「ふ~ん」
「さ、行きましょ。遅刻するわ」
「ぁ、うん。つらら行くよ!!」
狒々様が愛した奴良組
父が愛した奴良組
決して潰させやしない
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