足音

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『それでは!結菜の幸せな結婚発表に~……乾杯っ!!』 友人達の笑顔と拍手と祝福の言葉に、結菜は照れながら微笑んだ。 『しっかしいつの間にそんな話が決まったのよ~和樹君と。』 親友の亜依が結菜の二の腕を肘でこのこのっとつつく。 『和樹とは付き合って2年目だから、そろそろかな…って。』 照れながらそう答える結菜に、友人達は羨ましそうにはあ~っと溜め息をついた。 『和樹君…かっこいいし、エリート大学卒業だし。お勤め先も国税庁で出世間違いなしのお墨付きだし。はあ~。いいなあ~。』 友人の羨ましそうな顔を見て、結菜は微笑みながら『でも…』と言葉を遮った。 『和樹は仕事命だから、結婚してもあんまり構ってくれなさそうだけど。まあ…仕事に一生懸命な和樹が好きなんだけどね。』 微笑みながらそう言う結菜に、『ノロケかよ~御馳走様っ!』と友人達が笑いながら茶化す。 近藤結菜。28歳。幼稚園で幼稚園教諭をしている。 和樹とは3年前、駅前でピアスを落として必死に探していた結菜に『どうしたんですか?』と声を掛けてきて、一緒に探してくれた事がきっかけで知り合った。 初対面なのに『それはお困りでしょう。僕も探しますよ。』と一生懸命探してくれた和樹を優しい人だなあと思ってから、その後連絡を取り合い告白されて付き合ってからプロポーズまでを振り替えると 結菜は本当に優しく紳士的な和樹を心の底から愛していると思った。 だからプロポーズされた時は嬉しくて嬉しくてー…… この人となら温かい家庭を築けると思った。 だからOKしたのだ。 そうー………世界一幸せな家庭を作れると。
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