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はぁ…俺、凄くみっともない。嫌われたなと苦笑した。
「私ね、彼が好きだったって言ったよね?」
「あぁ…」
「今更、何を言うんだ?って思ったでしょ?」
図星だ。聞きたくない、耳を塞ぎたい気持ちで一杯だ。
「私…ズルい子だから、付き合ってた時彼以外の…他の人が好きだったの」
「へっ…?」
知らなかった。付き合って居たことは毎日毎日、自慢を聞いていた。
けど、彼以外の他の人に好きなヤツが居たことは知らなかった。
幼馴染みは、頬を染め目に涙をためながら上目使いで俺を見上げる。
「わ、私…涼の事が…………」
──────────────
「起きろ、涼君!!今日は、『腐っても男子 SP』の撮影の日でしょ?」
俺は、目を覚ましキョロキョロと周りを見渡すと、事務所中だった。
幼馴染みは?
告白は?
「アレ…幼馴染みは?…告白は?」
「大丈夫?涼君?」
心配そうに、マネージャーは俺をみる。
俺は、マネージャーに夢の話をすると同情的な眼差しで俺を見る。
「涼君、夢の中の君はまだマシだね。現実では出来る?」
思い返してみた。
確か手を繋いだり、抱き締めたり、お姫様って呼んでいたな……出来る気がしない。
「それに…例え現実になったとしても、涼君の幼馴染みって男じゃん」
「あっ……!?」
忘れていたわけではないが、夢見すぎていた。
「別に、恋に性別は関係無いけど。そろそろ、行こうか?」
俺は、ニヤニヤ笑うマネージャーの頭を軽く小突いてから、事務所を出た。
「……寒っ」
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