Naturally

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「ふふふ、その後どうしたの?」 「ゴメンて謝ったら、そういうことはもうしないでくださいって言われて、映画を見終わったら一人でさっさと帰って行った。そのあと一週間程、学校で会っても口を聞いてくれなかったけど、また一緒に帰るようになった」 「付き合いは長かったの?」 「俺が三年の秋頃、受験勉強を本格的に始めてから、だんだん会わなくなって、卒業後は全然会うことはなくなった。でも、一年後、彼女が短大に行くようになって、偶然、駅のホームで会ってからまた付き合うようになった」 「わー、素敵。それから?」 「ちょっとトイレ行ってくる」 「イヤダー、いいところなのに」 泰輔がトイレから戻ってくると、ラムは他の指名客の席に行っていて、ミカもお得意のお客の見送りに外へ出ていき、エミリが一人、泰輔の席で待っていた。 しばらくしてラムが席に戻ってきたが、泰輔は、明日の朝早く現場に行く予定だったため、店を出ることにし、お気に入りの子のラムに店の入口で見送られていた。 ラムは、胸の辺りで泰輔の右手を自分の両手で包み込み、軽く揉むようにしていた。 「泰輔ちゃん、今度、何時来てくれるの?」 「来週後半くらいかな」 「ねぇ、その時同伴してほしいな」 「うん。……まだ、予定がはっきりしてないから、できるようだったらメールする」 「きっとね」
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