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美紗子の方も、泰輔に対して、買い物に付き合ってほしいとか、プレゼントが欲しいとか、ドライブに連れてって欲しいというような要求はまったくしてこなかった。
いつも泰輔が、一週間後の夜に食事でもどうか、とメールすると、その日は予定があるから、次の日の方がいい、という感じで返信がくるのだった。泰輔の誘いを断ることはほとんどなく、時には、美紗子からも誘いのメールがくることもあり、お互いの日々の生活にあまり支障のない範囲内で会っていた。
この日も二人でよく行っているダイニングバーで食事をしながらお酒を飲んだ後、ホテルの部屋に入り、カラダを合わせた。
一度目の事を終えて、二人とも仰向けになったまま、布団を首まで掛けて話をした。
「妹がね、いい人できたみたいで、お嫁に行くことになりそうなの」
「おめでとう」
「ありがとう。……それで、私たち二人姉妹だから、母が私に、そろそろ宇津官に戻って欲しそうな電話がよく掛かってくる」
「妹さん、県外に行くの?」
「妹の彼が、海外への長期出張が多いらしくて妹も一緒に行くんだって。宇津官にはほとんどいなくなるから、今度は私のこと頼りにしてる」
「戻ることになるの?」
「まだ、戻りたくないけど、いずれは戻ろうと思ってる」
「結婚は?」
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