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「全然問題ないと思います。……俺も一緒に入りたいくらいです」
「うふふ、まあ、誰が入るかは後で決めることにして。……旅館の近くに散策できるところがあれば、そこの写真も撮ってもらおうかしら」
「えぇ。バックに冨志山が入るといい感じになりそう」
「そうね、近場の散策コースも整っている旅館というのを探してみましょうか?麻友さん、どうですか?」
「はい、いくつか当たって見ます」
その時、麻友に急ぎの外線電話が入り、席をはずした。
「川島さん、ごめんなさい。麻友さんが戻ってから続きをしましょう」
「はい。……瀬戸さん、先日は、へんなところ見せてしまってすいませんでした」
「あぁ、あの夜のことね、いいのよ、気にしなくて。……彼女とうまくいってるのかしら?」
「違いますって。彼女はキャバクラのお姉さんで優輝とよく一緒に飲みに行くだけですから」
「そうなの。でも彼女の川島さんを見る目には情感がこもってたような気がする」
「……きっと彼女が酔った目をしてたからですよ。そんなとこまで、見てたんですか。マイッタナー。俺、今、彼女なんていません」
泰輔が、郁子の目を見つめると、郁子も少しだけ見つめ返してきた。
「うちの誰か紹介したいけど、麻友さんと祐子さん以外は既婚者か三十才過ぎのおばさんだから?」
「俺、勝手気ままのところあるから、年上の人の方が合ってるかもしれません」
「本気なの?」
「えぇ」
「今度、それとなく当たってみましょうか?」
「はい。お願いします」
麻友が、電話を終えて戻ってきた。
「すいません、席をはずしちゃって」
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