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打ち合わせを終えた泰輔は、優輝がカメラの手入れをしている自宅へ一旦戻ることにして車に乗り込んだ。
いつもあまり混まない道路は、どこかで事故があったのか渋滞になっていて、車は少し進んでは一分程動けなくなっていた。
泰輔は、先ほどの打ち合わせを振り返りながら、自分に与えられた課題を考えていると、麻友や郁子のことも浮かんできてしまっていた。
麻友が結婚するということを聞き、少しは残念に思うものの、自分から想いを伝えることができなかったのだから、魅力のある女性を他の男性が放っておくはずはなく、しかたのないことだとあきらめがついていた。
それよりも、泰輔と話をしている時、郁子はじっと見つめてきていた。
彼女はいつも相手の目を見ながら話すのだが、今日の泰輔に対する目線が以前より強く感じたのが気にかかっていた。
泰輔も郁子については、あこがれがあるものの、自分なんか相手にしないだろうと思っていたため、ビジネスでの付き合いという線を引いた接し方をしていた。
郁子とは、五日後に、別の案件で会うことになっていた。もしその時も今日のような目線だったら、いつもお世話になっているので懇親の意味も含めて食事でもどうかと誘ってみようと思ったのだった。
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