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泰輔は、準大手のエスアイ印刷会社の編集企画室からもよく仕事の依頼を受けていた。
さまざまなメーカーの商品カタログやパンフレット、小売店チェーンのバーゲンセールの折り込みちらし等の撮影があり、泰輔の売り上げの三分の一ほどの仕事量をもらっていた。
担当者の一人、編集企画室の笹島という三十五才のディレクターと気が合い、よく居酒屋や一杯飲み屋、たまに女の子が付く店へも繰り出していた。
来月から掛かる予定の仕事の打ち合わせをし終わると夕方の六時過ぎになっていて、ちょっとお酒飲んで行こうかということになった。
エスアイ印刷会社は、品山にあり、笹島は磯児台に住んでいたので、帰宅途中になる桜樹町の居酒屋で飲むことになった。
泰輔は車で来ていたため、先に自宅に帰って、車を置いてから飲み屋に行くことにした。
笹谷と泰輔は、生ビールを飲みながら、今取りかかっている仕事のスケジュールや印刷業界の事などを話していた。
「新聞や本や雑誌などが電子版になっていくと、印刷会社もそれに合わせた対応をしていかないと生き残れなくなってしまう状況が目の前に迫っている」
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