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ダイニングルームにいくと、珍しく全員がその場にいた。
ダイニングルームは食事の時間以外でも皆の共同の場として過ごす、いわばリビングのような役割を果たしている。
それぞれゲームをしたり本を読んだりと自由に過ごしている中、セレと天翔が入ってきたことに気付いたあずまが見ていた書類から顔をあげた。
「おぉ。セレ。…どうかしたか?」
どこか決まり悪さげなセレの様子に気付いたのであろう、あずまがセレに声をかける。
「いえ・・。あの、お話したいことが・・。」
あずまは持っていた書類を机に置き、体ごとセレに向き直る。
「ああ、いいぞ。どうした?」
「その・・23日の夜から26日まで、ちょっとお暇を頂きたいのですが・・。」
あずまは眼を瞬かせてセレを見た。
「別にいいけど・・何か用事でもあるのか?」
「はい。あの、天翔とちょっと…旅行に・・。」
心優しいあずまに墓参り等と言って心配させたくなく、旅行の体を装うことにした。
「旅行!?また急な話だな。国内か?」
驚くあずまに申し訳なさそうに告げる。
「いえ、国外になってしまうんですが・・。ラオクスへちょっと。チケットはもう用意してあるんです。」
ラオクスはセレの母やあずまの母がいた国で、馴染みも深い。
あずまは頭を掻いた。セレは普段明らかに常人の倍以上仕事をしていてたまには休んで欲しいとこっちが思うくらいだ。
だから別に休みをとりたいという願いは構わないのだが・・。
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