『捕食者』

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いつからか、人は狂い始めたらしい。 文明と呼ばれた華々しい進化の果てに、人類はやがて自滅の道を選んだ。 いや、最初からそう決まっていたのかもしれない。 人間の中の自滅プログラム。 破壊と崩壊。 崩れ堕ちた、歴史- 母さん、ここはまるでいつか見た太古の世界に似ているわ。 す…ど…もで…きもないわね いつの世界の話をしてるの「」。 人間のもつ「化学」のチカラはもうないの 一つの火がこの星を焼いたのよ じゃあヒトは生きれないのね でも絶滅はしてない 「」はまた行かなきゃいけないの? …そうね、旅はまだ終わりじゃあないわ もう疲れたよ、何度繰り返すの 何度でも繰り返すわ、あの方が進む限り 降りるの? ええ もう誰もいないよ ええかもね 信じてそれで何になるの 終わりに近付き過ぎた 「私」達を 導く何か さざめく黒く淀んだ波 殺戮、焼かれた大地 悲鳴、紅い月 見つめる月と太陽 黒い雲と痛い雨 命は何処? 「」、探して 嘘だよ、見つからない ああ、見て母さん、これが私達の末路なのね わからないわ、 確かに()は星の一部だったのに いつからこんなになったの? 人間だからよ、「」 まだ見ていなきゃ駄目? それが使命だから 熱を孕んだ風 舞う白い灰 かあさん… *********** 旅人は世界末に一度死んだ。 地球に生きる大部分の命がそうであったように。 人類が望んだ結果なら仕方ない。 植物や動物や昆虫、魚類その他に到るまで絶滅に追い込みそして心中だ。 ああ、でも諦めが悪いのかわずかな人間が地下に潜り息を潜めたおかげで滅亡は免れる。 そして文明崩壊後、再び旅人は現れた。 「」に遣わされ… 『行こう、母さん…』
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