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一章 銀の風
夜の京の道を僕は歩いている。目的地まであと少し。
時間が遅いから宿に行こう。
「近くにあるかなぁ……最悪野宿かも。」
僕が呟きながら細い道を歩いていたとき、
ドンッ!
よそ見しなきゃよかった思いきりぶつかったけど大丈夫かな?
「ねぇ、大丈夫?」
「あっ…はい!すみません!」
何焦っているんだか。
「君、可愛い女子だね。」
「えっ…!?」
化けてるつもりだったんだ。まあよく見ないと分からないかもね。
「赤くなってるところも可愛いね。僕は、東条風太。君は?」
「私は…雪村千鶴です。」
「千鶴ちゃんね。僕の事は好きな風に呼んで。
でも、敬語はなしね。
“ さん ”付けもだめ。」
「じゃあ…風太君…?」
「それでいいよ。名前で呼ばれるっていいね。」
僕がにっこり笑うと、千鶴ちゃんが赤くなった。
「そういえば、急いでたみたいだけど…。」
「そうなの。浪士に追われていて…。」
「ふぅん…じゃ僕がお仕置きしてくるよ。」
「えっ…お仕置き…?」
「うん。女の子を追いかける下品な奴だもの。
しない方がおかしいね。」
僕はそう言って前に出た。
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