ゲーマーの神

2/19
前へ
/117ページ
次へ
緑溢れる丘が、東から昇ってきた太陽の光によって、煌々と輝いている。 さらに、丘の麓にあるギリシャ神話に出てくるような白壁の家々も、太陽の光を反射し、眩しいほどの輝きを放ち始めた。 …ここは、神と神人の住む世界…『聖神界』。 人の住む『人間界』とは、コインの裏表のような関係にあり、いわゆるパラレルワールドである。 そんな聖神界の町に住む、1人の神人がいた。 「…う…うーん……。」 窓から照り付ける朝日を受け、眉間にシワを寄せながら目を覚ます、少年の神人。 手には、今人間界で流行りのサンテンドーDSを持っている。 「……あぁ…よく寝たなぁ…。 …って、アアアァァァァァッ!!!!」 その手に持ったゲーム機の存在に気付いた少年は、慌ててベッドから飛び起きた。 「ウオォォォッ!!モンスターハンティング、セーブしないまま寝ちまったから、プレイ時間がヤバイことになってやがるゥゥゥッ!!!!」 尋常ではない叫び声を上げ、ボタンを連打する少年。 …この全くもって神には見えない…むしろ、ただのニートのような振る舞いをしているこの少年の名は、オリハル。 かの有名な雷・雨の神、『トラロック』の孫である。 それ故、彼は雷の力を使うことができる…。 ……だが…、 「ヤベェェ、プレイ時間999時間59分になっちまったァァァ! そして電池がもうなくなりそうだな…。そろそろ充電しておくか。 よっこらせ……っと。」 ビビビビビビビ…。 彼はその力を、ろくなことに使わない! オリハルは自分の指を充電器の差し込み口に近付け、ゲーム機の充電を開始した。      
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加