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このメールを見た瞬間、あたしの顔は青ざめ、背筋に冷たいものが通った。なんなの、このメールは。怯えて鳥肌が立っている自分に気が付かず、メールから目を離せないでいると突然携帯が鳴った。携帯の音に身体が一瞬、硬直したがすぐに戻り、恐る恐る電話をとった。
『……はい、もしもし?』
『あ、柳瀬さん? 今日は定期健診の日ですよ。病院で待ってますんでちゃんと来て下さいね』
あたしは不安や恐怖を拭い去る声に、胸を撫で下ろした。産婦人科の先生からだった。この人には妊娠が発覚した時から世話になっている。産婦人科と整形外科を構える病院の院長先生だ。こんな電話をかけてくるのもあたしが、この間の定期健診に行かなかったからだ。ただ忙しくて行く暇がなかっただけなんだけど。
あたしは知っている声の主からの電話に安堵し、病院に行くために買い物袋を家に持って帰った。そして荷物を降ろし、車に乗り込んで病院へ向かう。もうあたしの中ではさっき届いた不思議なメールのことなど、すっかり消えていた。
病院に着いたあたしは、少し順番待ちをした後、院長のいる診察室へと呼ばれた。
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