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「じゃあな」
さっと離れた咲也くんは放心状態の私を見てニッと笑うと足早に行ってしまった。
残された私は囁かれた耳が熱くて熱くて、それでもひんやりと冷たいピアスをそっと撫でた。
「やっぱり…」
(ズルいよ…)
(“咲也くん”は──)
メリークリスマス
サンタさん
最高のプレゼントを
ありがとう───
──────
私はその後、咲也くんのマネージャーさんに家まで送られた。
その時、マネージャーさんが“呼び出したくせに本人はとんずらかよ”とぼやいていた。
あの特集は無事、雑誌に掲載されたが、審査委員の評価が低くて1番にはなれなかったから、写真は1枚しか載っていなかった。
それを切り取って写真立てに飾っているのは、
誰にも内緒───。
私は今日も意味もなく、冷たいピアスをそっと撫でる。
──伝えたい言葉
──伝えたい想い
まっすぐに彼まで届いていていきますように、と──。
──end──
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