『序章』

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日の光を浴びていたところに影がさす。明るかった視界が急に暗くなり、不安を煽った。 しかしそれが巧の影だと分かった瞬間、不安はすうっと引き、代わりに安心を与えてくれた。 巧は普段頼りがいのない奴だが、いざという時の行動には助けられてばかりだ。 「秀彰、怪我はないか?」 反響して声が聞き取り辛かった。 この穴は意外に狭いのかもしれない。さっきまではそんなこと考えしなかった。 それだけ追い詰められていたのだろうか。 なんにせよ、「下は水だから大丈夫。怪我もない」と言った。 正確には足を少し捻ってはいたが、気にするほどのものでもなかったので、余計な心配を与えないようにする。 「そうだ巧、気を付けろ。そこら辺地面にヒビが入ってるから。おまえも落ちるかもしれない」
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