13人が本棚に入れています
本棚に追加
日の光を浴びていたところに影がさす。明るかった視界が急に暗くなり、不安を煽った。
しかしそれが巧の影だと分かった瞬間、不安はすうっと引き、代わりに安心を与えてくれた。
巧は普段頼りがいのない奴だが、いざという時の行動には助けられてばかりだ。
「秀彰、怪我はないか?」
反響して声が聞き取り辛かった。
この穴は意外に狭いのかもしれない。さっきまではそんなこと考えしなかった。
それだけ追い詰められていたのだろうか。
なんにせよ、「下は水だから大丈夫。怪我もない」と言った。
正確には足を少し捻ってはいたが、気にするほどのものでもなかったので、余計な心配を与えないようにする。
「そうだ巧、気を付けろ。そこら辺地面にヒビが入ってるから。おまえも落ちるかもしれない」
最初のコメントを投稿しよう!