『序章』

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瞬間、足元が軽くなったと感じた時には体が足場をなくし落下を始めていた。 不意の出来事に、声をあげる事も出来ずに穴の中へ落ちる。 深い。 落ちたと感じてからどれくらいの時間経ったのかは分からなかった。 思っている以上に時間は経っていないのかもしれない。 が、それでも長いと感じさせる程度に穴は深かった。 死ぬ、そう思った。 刹那、水が飛沫をあげる音を聞く。 この下には水がある、と直感で秀彰は理解した。 深く息を吸い、衝撃に備える。 身構えた次の瞬間、体が水に当たる感触を得て、水の中に背中から落ちた。
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