『序章』

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穴の広さは直径にして4メートル強。それほどの穴が地面には空いている。 逆い言えば、それだけの穴の上に薄い地面があったということだ。 見るからに、少しでも重さがかかれば落ちるような厚さである。 言うなれば落とし穴の大きい版だ。 ……それにしてもと、そこで一旦考えをまとめる。 これは最悪のケースも考えられる。 秀彰は泳ぎが得意であると自負はしているが、それでも並みより少し上といった程度のものだ。 長時間泳ぐことは無理だ。何か掴めるものがあれば別だが、周りは闇で、掴むことの出来そうなものはなかった。 頭を抱えたくなるような状況だが、意外にも落ち着き払っていた。 もちろん死が怖くないわけではない。 だが、今は心踊る。 一度こういう場面に出くわしてみたいという好奇心が恐怖に打ち勝ったのだ。
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