星降る聖夜

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「……あの計画まで、あと一週間だな」 「……いよいよ、ですわね」  向い合い、互いの瞳に相手を映す双子の姉弟。母がいない今、互いが唯一の家族。 幼少時代にはいつも一緒に遊び、時には服を交換しては大人達を困らせる事も。 使用人達は真面目なポルカの方を気に入っていて、反抗的な行動が目立ち始めたカストルとは、徐々にあまり近づかせないようにし始めた。 だが、ポルカ自身昔から一緒に居て一番楽しい相手はカストルであって、カストルにとっても腹を割って話せる相手はポルカだけ。 だから当の二人はいつもこうしてこっそりと、会う時間を作っているのだった。 「絶対に上手くやってやるさ。それで母さんの事も、邸の事も、必ず調べるからな」 自信あり気に言うカストル。それは根拠のある自信ではなく、むしろ好奇心からくるもの。 そして好奇心を掻き立てられた彼は恐いもの知らずだと、姉のポルカも解っているから、力強く返事ができる。 「ええ、わたくしも頑張りますわ。きっと大丈夫」 「ポルカは頭いいからな」  二人の選択。 姉ポルカが使用人や門番を引き付け、その隙に弟カストルが邸から脱出する。それも共謀ではないことを装って。 脱出が上手くいけば、姉は邸の中で上手くやり過ごしながら使用人達に探りを入れ、弟は外の世界から手掛かりを探す。 知るべき事を知るため。 謎を明らかにするため。 賭けではない。必ず成功させなければならない、計画。 「二人で力を合わせれば、必ず……」 凜とした眼差しで、ポルカはまた双子大星を見上げる。 流星群が、未だとどまる事なく、幾本もの矢のように流れ続けていた。
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