解放へのプロシード

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五日後。 「だから、おめーはヒイキされてんだよ!」 「まあ、でしたら貴方も真面目に勉強したら良いのではなくて!?」  大きな邸を揺さ振るかのように響く、双子の罵声。それを聞き付けた女家庭教師が、困惑の色を浮かべ制止に入る。 「ポルカ様! 何を喧嘩などなさっているのです? それにカストル様とはあまり関わらないようにと申しましたでしょう」 ポルカは睨むような目つきのまま、すぐに対面していた弟の正面を離れ、 「言われなくてもそう致しますわ! もうたくさん!」 と言い放つと、女家庭教師の側までツカツカ歩いて行った。  家庭教師はポルカの背をそっと押しながら一緒に歩き出す。 その際にポルカは気づかれないよう右手を後ろに回し、人差し指の先で何かを描いた。 『Ex』 『完璧』を表すエクセレントの意味。 普段あまり笑わないカストルだが、それを見て口の端を緩ませた。 誰にも気づかれる事なく。
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