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その二日後、流星群の日から数えて一週間後の、十二月<ドゥーゼンブリ>三十一日。
早朝、ポルカはベランダを伝い、窓からカストルの部屋をちらりと覗き見る。
ベッドに横たわっている彼の姿を認め、他に人がいない事を確認すると、窓をコンコンと軽く叩き小さな音を鳴らした。
気づいたのか、徐に体を起こすカストル。昔からあまり朝に強い方ではなかった。
それでも合図の主が姉だと判ると、すぐに窓の側までやって来て鍵を外す。
開け放たれた窓から吹き込む冷たい空気に、身体が震えそうになる前に。
ポルカは片割れの弟を、強く抱き締めた。
温めてあげるように。
双つの鼓動を確かめ合うように。
暫くの間、何も言わなかった。
いや……言えなかった。
想いを声に出した瞬間、泣いてしまいそうだったから。
言葉を失っている姉の身体を両腕で抱きとめた弟が、やがて先に口を開く。
「……オレの演技も、なかなかだったろ」
「……完璧、でしたわ」
「でも、ポルカには敵わねぇよ」
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