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ここは【ミラルージュ王国】の首都であり、巨大な城と人の声が賑やかな城下町が広がっている。
城の周りは小鳥が飛び交い、快晴の空を喜んでいるかのように思えた。
しかし、平和…だとは言い難い。戦争では厳しい劣勢状態が続いており、この城と城下町以外の領土はいつ占領されてもおかしくない。
その事態に怒りに震える国王と女王が謁見室で使いの者に対し、虐待行為を行っているのがこの国の現状である。
「お父様…お母様…どうしてあのようなことを…」
綺麗に着飾れたドレスを気にせずに、私は無駄に豪華なベッドへ顔を沈める。
ティアラが床に落ちる音が部屋に響くけど、誰も拾ってくれる人なんていない。
お父様とお母様は毎日のように顔を歪ませている…この国の戦力が脆弱だと言いながら…。
確かに他国に比べると発達した鉄鋼技術も、卓越した魔法技術もない…でも私たちにしかないものがある。
それは…強大な力を秘めた召還獣。召還獣がこの国の象徴であり戦力。
しかし、その代償として召還した術者は召還獣に命を捧げなければならない…つまり死の代償。
よって召還を恐れる兵士がたくさんいて、その力を戦争に活用することができないでいる。
最低限であるここ首都は過去に皇国の侵攻を受けたものの、たくさんの犠牲によりなんとか防衛に成功した。
そのとき皇国は我が国ミラルージュ王国は防衛にしか戦力を使わないと判断したらしい…正しくは侵略に戦力を使えないだけなんだけど…。
それなのにお父様とお母様は戦争に自ら参加するなんて…私の両親は戦争で変わってしまった…。
ベッドから顔を上げて、私はある策を実行しようか迷っていた。
それはこの城から、この国から出て他国に協定を結ぶように説得するという策。これなら被害を抑えられる…。
お父様とお母様が言っていた戦力不足も解決できるし…そう、協定を結ぶことで平和になる!!
私はベッドから飛び起き、邪魔なドレスを荒々しく脱いだ。クローゼットから比較的目立たない服を選び、鏡を見ながら着替えいく。
まずはこの城を誰にも見つからずに抜け出さなきゃ…。
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