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「はぁ…………」
かじかむ掌を温めようと漏らした吐息は、一瞬で白く染まり、漆黒の夜空へと吸い込まれていく。
今日が特別な日じゃなかったら、秒で家に帰ってる寒さだなこりゃ……。
特別な日……そう。
今日はクリスマス――聖なる夜だ。
恋人同士が愛を確かめ合う日でもあり、家族同士が絆を深め合う日でもあり、一人で寂しく孤独を深める日とかだったりする。
曰わく、リア充祭だとか言うやつもいれば、いつもと変わらぬ何気ない一日と捉えるやつもいるな。
まあ、クリスマスの解釈は人それぞれだ。
俺か?
俺にとってのクリスマスっつったら、そんなもんは決まってる。
ハッピーなデイズだろうが!
いやー、今日はめちゃくちゃテンション上がるなーっ!
なんだか叫びたくなってきたなよし叫ぼううん叫ぶ。
「メリーぃクリスマスぅ!!」
俺は高まる気持ちを抑えきれず、自らのテンションの赴くまま、夜の市街地の中心……かもしれない場所で叫んだ。
「五月蝿いです、和人(かずと)」
直後、なんか普通に文句を言われた。
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