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カランカランとカフェのドアが鳴った。
何故か俺達は、カフェで話し合うことにした。
何故、京助が目の前にいるのか、それが知りたかったからでもあるが、京助に半強制的に連れて来られたからである。
「いらっしゃいませー、お一人様ですか?」
と店員は言った。京助は俺のすぐ隣にいるのに、だ。
「いえ、2人ですけど…」
「ああ、お連れ様がもう一人いらっしゃるのですね?かしこまりました」
店員は京助には見向きもせず、せっせとカウンターの奥へ行ってしまった。
その時、きっと俺は恐怖していただろう。心の内からじわじわと登り寄せる寒気、やはり京助は…
「さあて、行こうぜ」
京助は、固まる俺の手を掴み、席へと誘導した。
おっとっと、と何も無い空間に手を引かれている俺の姿を見て、他の客は笑っていることだろう。
他人からしたらきっとパントマイムをしているようにしか見えないはずだ。
席に座り、京助が店員を呼ぶボタンを押す。
しかし、店員を呼ぶ音は鳴らず、京助は、しまった、という顔をして肩をすぼめてしまった。
京助の顔は、悲しそうに見えた。
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