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「…直哉にあの後会ったんだ」
ぽつりぽつりと、分かれた後の出来事を話していく。
また鮮明に思い出し涙が頬を伝う。
「…ふっ、くっ…言わなきゃ‥もう隠せなかったんだ」
好きで好きで好きで
どうしようもなかった想いを漸く伝えられた。でも人間は欲が出る生き物で
その先に進みたいと…また新たな欲が増え、そんな自分が嫌で。
胸の内を話していくと涙が溢れ出す。
今更こんな号泣するなんて思わなかった。昨日も泣いた筈なのに。
…あぁ。そうか俺は
吐き出したかったんだ。
気を張らずに、子供みたいにワンワン泣いても受け入れてくれるこいつに。
「頑張ったな」
柔らかい声、抱きしめられ伝わる体温。直哉とは違う香りだが安心するシトラス系の香り。
「…直哉くんも馬鹿だよな。こんなに想ってくれる奴居ないよ」
甘く優しく俺を甘やかす尚吾。
お前に想われても返すことの出来ない俺を、大事にしてくれる。
「…ごめんな…」
謝る俺に『馬鹿だな』って言ってポンポンと背中を叩く。
「言ったろ。俺はお前をドロドロになるくらいに甘やかす存在だって。…でも、辛いなら俺を選べばって思う」
…何時か直哉の事を忘れて、尚吾を好きになる日がくるのかな。
でも、今はまだ…直哉の事を想って忘れる事は出来ないだろう。
「馬鹿だな…尚吾は馬鹿だ」
「はいはい。馬鹿で良いよ」
ギュッと腕を回すとクスクス笑われる。何時か…笑って過ごせる日が来る時に側には誰が居るのかな。
…俺も笑って居られる未来があると信じて前を見よう。
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