第七章

2/15
前へ
/202ページ
次へ
それから季節は 秋がきて冬がきて春と巡り俺達は三年生になった。 あの後母親や姉と連絡がきて、少し騒がしくなったが俺の意志が強いと分かったのか、何も言われなくなった。 …直哉ともその後一切連絡を取ってない。またシカトする日々。 今は部活も引退して、毎日勉強バイトに追われる日々を過ごしている。 「なぁ要ココ教えてくんろ」 シャーペンで頭を掻きながら問題集と睨めっこする尚吾。 特別変化はあまりないが今こうやって、変わらずに過ごせているのは、尚吾のおかげだと思う。 「ここはさ、こうやって解くんだよ」 隣に腰を下ろし教えていると、隣から視線を感じ顔を向けるとジッと俺を見ていた。 …変化はやっぱあった。 たまに、抱き締められたり…キスされるようになった。 「…要」 こうやって、甘い声で抱き締められると拒否出来ないんだ。 「勉強しないのか?志望校B判定だったろ?」 頭を撫でながら言うと『うっ…それを言われたら』と言いながら胸を押さえ離れていく。 …もう10月だ。尚吾も部活を引退して勉強を頑張っているが、思うように成績が上がらずにいた。 「あ~ぁ。要はA判定だもんな。頭良すぎだろ!」 机に俯せになる尚吾の頭を、苦笑いを浮かべて撫でる。 「無理して俺に合わせなくても良いのに。…熊本だよ?知り合いなんて居ないだろ?」 「良いんだよ。俺がそうしたいだけ」 そう。俺は母親に頼み込み父方の婆ちゃんの居る九州熊本にある、K大に行こうと思っている。 それを尚吾に伝えると『俺も!熊本に行く!』と言い始めた。 、
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1455人が本棚に入れています
本棚に追加