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女子生徒の目を見据えて、そう優しく断りを入れる要。
その返事を聞いた瞬間、強ばっていた身体から力が抜けるのが分かった。
…つか、何でホッとしてるんだ?
涙を流しながらも笑顔で『分かった。聞いてくれてありがとう』と言う女子生徒に
『…俺の方こそ、告白してくれてありがとう』と優しく笑いかけ、ハンカチを差し出す要にモヤモヤとしてしまう。
…何で振った奴なんかに優しくしてんだ。こいつ。
『…要君、最後に御願いがあるの』
『何?』
少し、話をした後こんな事を言い出した女にもイライラする。
さっさと帰ればいいものを。
なんて思っていると、衝撃的な事を言い出した。
『最後に…ギュッて抱きしめてくれない?そしたら諦めるから』
…はぁああぁ!?何言ってんだ!この女(アマ)!!さっさと帰れや!
つか、そんな事要がする訳ねーだろ。馬鹿なのか。
『…分かった。』
少し困った様に笑いながらも、ゆっくり近付き、言われた通りギュッと抱きしめる要。
王子みたいだよね!とキャキャッ騒ぐ女子を思い出した。
…本当だな。よく見てる。
つか、こんな事をサラッと出来る中学生中々居なくね?
モヤモヤとした黒い感情が俺の中を支配していく。
バタバタと走って出て行く女を壁に隠れ睨み付けた後、中の様子を伺う。
既に椅子に腰掛け、窓の外をボーッと見る姿すら絵になるんだな。
頃合いをみて中にはいるが、まだ俺が来た事に気付いてない。
「…要。待ったか?」
「…!直哉。お疲れ様」
俺の声に反応し、振り向いた要の顔は何時もの笑顔で。
さっき告白されたなんて、見てなかったら気付かないだろう。
「…帰るか。」
「うん。そうだね」
何時か、要に彼女が出来たらこんな風に一緒に帰れ無くなるんだろうか。
…コイツが惚れる女ってどんな奴なんだろう。
「…なぁ、俺達は変わんねぇよな」
「ふふっ、何?いきなり」
変わらないよ。って笑う要に安心しながらも…複雑になる。
…こんな感情は知らない。要に向けるものじゃ無い。
そして、その感情に蓋をした。
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