第七章

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要-side- 勉強も追い込みに差し掛かった12月。突然姉貴からの一本の電話。 『要!大変なの!直ぐ帰ってきて』 「は?何?どうしたの?」 『いいから!直ぐよ!』 そう言ってブチッと切られる電話。無機質な電子音だけが響く。 な、何なんだ?あんなに焦っている姉貴の声は初めてだ。 「要?どうした?顔色悪いぞ」 心配そうに顔を覗き込んでくる尚吾に今の内容を伝えると 「直ぐに準備しろ。」 「…尚吾?」 「大丈夫だ。そんな顔するな」 情けない顔をしていたのだろうか。 強く抱きしめられる。尚吾の心音を聞き少しずつ落ち着いていく。 回していた腕を離し『もう大丈夫』と伝える。 「取り敢えず行くよ。」 「あぁ。1人で大丈夫??」 本当は心細いが… 家の事だ。尚吾に迷惑をかけるわけにはいかない。 、
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