第八章

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姉貴に『出掛けてくる』と伝え、少し落ち着いた尚吾と外に出る。 それから、神社までは話しはするが何処か弾まない。 神社に着く頃には終始無言だった。 「あ、此処って…要ん家から近いのな」 「ん?あぁ。そうだよ。」 神社に着くと思い出したように呟く尚吾。そして境内の奥に足を進める。 進む度、ザクザクと音を立て雪に足跡がついていく。 「…すっげぇな。一面銀世界」 「だろ?お気に入りなんだ」 小さい頃は、足跡をつけに此処に来ていたからな。 誰も来ない…直哉との秘密基地。 歩みを進めていると 「…ッッ、ァ…駄目」 小さいが声が聞こえる。 …結構近いな。 あたりを見渡すと、茂みの奥に人影が見える。 「………え?」 そして、理解すると目の前の光景に鈍器で殴られたような衝撃を受けた。 「ッッあ、駄目よ…こんな場所で」 「良いから。黙ってろ」 めくられた服からは、女性特有の豊満な胸。そしてその胸の突起を摘まみ首筋にキスをする男。 「んッ、あん、…そこは、ダメッッ…はッ…あッッ」 甘ったるい声。寒さと羞恥からか紅く染まる顔。 そして、スカートの中に手を突っ込み女の子を弄ぶ男。 「はっ、何処が駄目なんだ。感じてんだろ?」 思わず口を塞ぐ。 何やってるんだよ。こんな場所で てゆーか、どうして此処で? 「やん、意地悪…直哉」 …直哉。 異変を感じた尚吾が、俺の目をあの日のように覆い隠す。 …どうして。二年振りの再会がこんな形でだなんて。 尚吾が何か言っているが何も聞こえない。何も考えられない。 あまりにも衝撃過ぎて。 尚吾の手の平を涙が濡らしていく。 、
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