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どの位そうしていただろう。
尚吾の心臓の音がやけに大きく聞こえ、でもそれがとても心地よくて。
「…なぁ要。」
そう呟き少し離れ、額と額を合わせ真っ直ぐに俺を見つめる瞳。
そのあまりにも真剣な瞳から目が反らせなくなる。
「…そろそろ俺にしとけ。きっと傷つけない。お前には俺を選んだ事を後悔させないから。」
うん。お前を選んだらきっと傷つかないだろう。
「直哉君を好きなままで良い。俺を利用しろよ」
ありのままの、今の俺の気持ちを理解してなお俺を好いていてくれる。
そして…守ろうとしてくれている。
「俺は身代わりになれないか?」
瞳を閉じると、今さっきみた直哉達の光景が蘇る。
きっとどんなに想っても想いは届かない。報われない。
分かった上でお前を愛してた。
でもあの光景をみて、二年前以上に
アノ女の人に酷く嫉妬した。
そして、俺が居なくても直哉は何も感じてくれない。
ドロドロと醜い俺を、目の前の人は受け入れると言う。
俺の何処がそんなに良いのか分からない。世間に知られれば白い目でみられることも知っているだろうに。
また頬を伝い流れる涙。
もう…限界なのかもしれない。心が限界だと叫んでいる。
手で目を覆い隠す。
「ッッ…直哉を忘れさせて下さい」
だから…どうか逃げる俺を許さないで
そして…この甘く俺を甘やかして守ろうとしてくれる人だけは…どうか許して下さい
、
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