第八章

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どの位そうしていただろう。 尚吾の心臓の音がやけに大きく聞こえ、でもそれがとても心地よくて。 「…なぁ要。」 そう呟き少し離れ、額と額を合わせ真っ直ぐに俺を見つめる瞳。 そのあまりにも真剣な瞳から目が反らせなくなる。 「…そろそろ俺にしとけ。きっと傷つけない。お前には俺を選んだ事を後悔させないから。」 うん。お前を選んだらきっと傷つかないだろう。 「直哉君を好きなままで良い。俺を利用しろよ」 ありのままの、今の俺の気持ちを理解してなお俺を好いていてくれる。 そして…守ろうとしてくれている。 「俺は身代わりになれないか?」 瞳を閉じると、今さっきみた直哉達の光景が蘇る。 きっとどんなに想っても想いは届かない。報われない。 分かった上でお前を愛してた。 でもあの光景をみて、二年前以上に アノ女の人に酷く嫉妬した。 そして、俺が居なくても直哉は何も感じてくれない。 ドロドロと醜い俺を、目の前の人は受け入れると言う。 俺の何処がそんなに良いのか分からない。世間に知られれば白い目でみられることも知っているだろうに。 また頬を伝い流れる涙。 もう…限界なのかもしれない。心が限界だと叫んでいる。 手で目を覆い隠す。 「ッッ…直哉を忘れさせて下さい」 だから…どうか逃げる俺を許さないで そして…この甘く俺を甘やかして守ろうとしてくれる人だけは…どうか許して下さい 、
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