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直哉-side
やっぱり適わないなぁ。
自分でも隠していた気持ちをこの人は見抜いていた。
「今日話せて良かった。ありがとう姉ちゃん。またね」
「またね。帰り気をつけるのよ?」
それは俺の台詞だ。
苦笑いを浮かべ、去っていく後ろ姿を見送り携帯を取り出す。
…まずは身辺整理からだな。
電話帳を開き軽く操作していく。
そして
【削除しました】
残ったのはダチと家族の数十人のみ。
…俺、どんだけ女のアドレスしかなかったんだよ。
改めて自分の素行の悪さに小さく溜め息をつき、ポケットに携帯を戻す。
もっと早くにするべきだった。
すげぇスッキリした。
久々に少しだけ軽く感じる身体。
…たまには早く帰るか。
【要を今日駅で見かけた!しかも、見たこと無い奴と一緒だったぜ】
なんてメールが来てることに気付かず、帰路についていた。
、
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