第九章

5/15
前へ
/202ページ
次へ
その後、帰宅した母に『心配したのよ!この馬鹿息子!!』と 腹部を思い切り殴られたり、二人から弄られる尚吾を助けたりと騒がしい食卓。 再度この家の女は怖いと再認識した。 今は、夕食と風呂もすませ部屋でゆっくり過ごしている。 「あ~、何か疲れた」 グダーッとベッドに伸びていると、スプリングが軋み軽く沈む。 座ってきた張本人には無言だ。 「…どうした?尚吾」 「ん、明日…本当に帰んの?」 …あぁ。夕食ん時二人に帰ること言った時の事か。 まぁ、引き止めて来た二人には『俺達受験生だから。またちゃんと帰ってくるから。』と何とか納得させた。 「当たり前だろ?さっきも言ったとおり俺達受験生。勉強しないとな?さぁ、もう寝よう」 リモコンで部屋の電気とテレビを消し、毛布を頭から被る。 尚吾の言いたい事が分かるからこそ、気付かない振りをした。 「…要話聞いて。こっちみな」 「や」 ギュッと布団の裾を握ると、あっけなく布団を剥がされた。 横を向く俺に跨がり、目の前にうっすら尚吾の手がみえる。 、
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1455人が本棚に入れています
本棚に追加